お子さまの耳・鼻・のどの診療
成長期だからこそ、
耳・鼻・のどを
きちんと診ることを
大切にしています
当院では、乳幼児から学童期までのお子さまの耳鼻咽喉科診療にも力を入れています。
小さなお子さまは免疫機能が発達の途中にあり、保育園・幼稚園などで集団生活が始まると、風邪をはじめとする感染症を繰り返すことも珍しくありません。
また、お子さまは自分の症状をうまく言葉で伝えられないことがあります。
「鼻水くらいだから」
「耳を痛がっていないから」
と思っていても、診察すると中耳炎や強い鼻炎が見つかることがあります。
当院では、お子さまの現在の症状を治すだけでなく、聞こえ・ことば・睡眠など、これからの成長への影響も考えながら診療することを大切にしています。
赤ちゃんの鼻水・鼻づまり
「鼻水だけ」でもお気軽にご相談ください
乳児は大人に比べて鼻呼吸への依存度が高いため、鼻づまりが強くなると、
- 息苦しそうにする
- ミルクや母乳を飲みにくくなる
- 夜に何度も目を覚ます
- 咳き込む
- 機嫌が悪くなる
といったことがあります。
特に赤ちゃんは自分で鼻をかむことができません。
ご家庭で鼻吸引器を使用していても、粘り気の強い鼻水や鼻の奥にたまった分泌物を十分に取り除くことが難しい場合があります。
薬物療法が必要な場合もありますが、薬だけで鼻水や鼻づまりが十分に改善するとは限りません。
当院では、必要に応じて鼻の中を観察し、鼻汁を吸引して呼吸しやすい状態に整えます。
鼻汁吸引だけの受診もご相談ください
風邪をひくたびに鼻水がたまり、眠れない、ミルクが飲みにくいという乳幼児では、必要に応じて鼻汁吸引のために受診していただくこともできます。
「こんなことで受診していいのかな」と迷わず、お気軽にご相談ください。
赤ちゃん・小さなお子さまの耳掃除
小さなお子さまの耳の穴(外耳道)は非常に狭く、ご家庭で奥まで耳掃除をすることはおすすめできません。
無理に耳かきをすると、耳垢をさらに奥へ押し込んだり、外耳道や鼓膜を傷つけたりすることがあります。
耳垢が気になる場合には、耳鼻咽喉科で安全に取り除くことができます。
特に、
- 耳から嫌なにおいがする
- 耳だれが出る
- 耳を頻繁に触る
- 聞こえにくそうにする
- 耳垢が奥につまっている
といった場合には、一度受診してください。
耳だれは単なる耳垢ではなく、外耳炎や中耳炎などによって生じていることもあります。
乳幼児は中耳炎になりやすい時期です
特に乳幼児期は、鼻と中耳をつなぐ「耳管」が大人より短く、角度も水平に近いため、鼻やのどの炎症が中耳に波及しやすく、中耳炎を起こしやすい時期です。
保育園など集団生活をしていて風邪を繰り返すお子さまでは、中耳炎を繰り返すこともあります。
しかし、小さなお子さまは、
「耳が痛い」
「耳が聞こえにくい」
と訴えることができません。
そのため、
- 熱が続く
- 機嫌が悪い
- 夜泣きが増えた
- 耳をよく触る
- 呼んでも反応が悪い
といったことが中耳炎に気づくきっかけになる場合があります。
当院では鼓膜をできるだけ詳しく観察します
必要に応じて内視鏡を使用します
乳幼児の外耳道は狭く、耳垢があることも多いため、鼓膜を十分に観察することが難しい場合があります。
当院では必要に応じて耳垢を除去し、内視鏡を用いて鼓膜の状態を詳しく確認します。
鼓膜の色、腫れ、膨隆、陥凹、中耳に液体がたまっていないかなどを確認し、必要に応じて経過を追います。
小児急性中耳炎については現在「小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版」が、日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会などから公表されており、鼓膜所見と症状・年齢・重症度を組み合わせた診療が推奨されています。(日本耳科学会)
滲出性中耳炎
「痛くない中耳炎」にも注意が必要です
急性中耳炎のような強い痛みや発熱がなくても、鼓膜の奥に液体がたまった状態が長く続くことがあります。
これを滲出性中耳炎といいます。
滲出性中耳炎では、お子さま自身が症状を訴えないことも多く、
- テレビの音を大きくする
- 呼んでも返事をしない
- 聞き返しが増える
- 発音が気になる
- 落ち着きがないように見える
などがきっかけとなって発見されることがあります。
小児の滲出性中耳炎は難聴の原因となり、長期間続く場合にはことばの発達や学習などへの影響も考慮する必要があります。現在の診療ガイドラインでも、鼓膜所見だけでなく聴力や発達への影響を含めた評価が重視されています。(Mindsガイドラインライブラリ)
滲出性中耳炎は、経過をきちんと追うことが大切です
小児の滲出性中耳炎には自然に改善するものも多く、すべてのお子さまにすぐ手術が必要なわけではありません。
当院では、
- 鼻・副鼻腔や上咽頭の状態
- 鼓膜の状態
- 聞こえ
- 中耳に液体がたまっている期間
- お子さまの年齢や発達
などを総合的にみながら治療方針を決めます。
鼻炎や副鼻腔炎などを合併している場合には、それらの治療も並行して行います。
また、年齢や発達段階に応じて実施可能な場合には、自己通気(お子さま自身で耳管の換気を促す方法)をご指導することもあります。自己通気を含む保存的治療についても、2022年版の小児滲出性中耳炎診療ガイドラインで検討されています。(Mindsガイドラインライブラリ)
改善しない滲出性中耳炎には鼓膜換気チューブという選択肢もあります
滲出性中耳炎が長期間改善せず、難聴が続いている場合や、鼓膜の強い陥凹などが認められる場合には、鼓膜換気チューブ留置術を検討することがあります。
鼓膜に小さなチューブを留置し、中耳の換気を保つ治療です。
すべてのお子さまに必要な治療ではなく、病気が続いている期間、聴力、鼓膜の状態、年齢などを考慮して適応を判断します。
当院では、適応のある患者さんには鼓膜換気チューブ留置術も行っています。
2022年版ガイドラインでも、保存的治療だけでなく、鼓膜換気チューブ留置術の適応や術後管理が重要な項目として位置づけられています。(Mindsガイドラインライブラリ)
急性中耳炎では重症度に応じて治療します
急性中耳炎だからといって、すべてのお子さまに同じ治療をするわけではありません。
年齢、耳の痛みや発熱、鼓膜所見などから重症度を判断し、
- 経過観察
- 薬物療法
- 鼓膜切開
などから適切な方法を選択します。
鼓膜が強く腫れて痛みが強い場合などには、鼓膜を小さく切開して中耳にたまった膿や液体を排出する鼓膜切開術が治療選択肢となることがあります。
当院でも、必要と判断した場合には鼓膜切開を行っています。
お子さまのアレルギー性鼻炎も増えています
近年、アレルギー性鼻炎は小児でもよくみられる疾患となり、低年齢で症状が始まるお子さまも少なくありません。2024年には日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会から「小児アレルギー性鼻炎診療の手引き」も公表されています。(J-STAGE)
お子さまのアレルギー性鼻炎では、
- くしゃみ
- 水のような鼻水
- 鼻づまり
- 鼻や目のかゆみ
だけでなく、
睡眠の質が悪くなる、口呼吸になる、日中の集中力が低下するといった影響が生じることもあります。
そのため、単に鼻水を止めるだけではなく、原因となっているアレルゲンや症状の程度を確認して治療することが大切です。
眠気にも配慮した薬物治療
アレルギー性鼻炎の薬物治療では、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などを症状や重症度に応じて使用します。
抗ヒスタミン薬の中には眠気が出やすいものがあり、特に学童期では日中の眠気や集中力への影響にも配慮する必要があります。
現在は眠気の少ない第2世代抗ヒスタミン薬もありますので、年齢、症状、生活スタイルに応じて薬剤を選択します。
鼻噴霧用ステロイド薬は鼻粘膜のアレルギー炎症を抑える効果に優れた治療薬で、小児でも年齢・適応に応じて使用されています。(J-STAGE)
アレルギー体質そのものに働きかける「舌下免疫療法」
一般的な抗アレルギー薬は、主に症状やアレルギー反応を抑えるための治療です。
一方、アレルゲン免疫療法は、原因となっているアレルゲンを少量ずつ継続的に投与することで、アレルギー反応そのものを起こしにくくすることを目指す治療です。
当院では、
- スギ花粉症
- ダニによるアレルギー性鼻炎
の患者さんに対して、適応を確認したうえで舌下免疫療法を行っています。
4~5歳ごろのお子さまも治療を検討できます
現在使用されているスギ花粉・ダニの舌下免疫療法薬では、薬を適切に舌下で保持・服用できることなどを確認したうえで、概ね4~5歳以上のお子さまから治療を検討します。(PMDA)
舌下免疫療法は毎日、数年間にわたり継続する必要があります。
即効性の治療ではありませんが、長期的な症状の軽減や使用する薬の減量が期待され、治療終了後も効果が持続する可能性がある疾患修飾的な治療です。
また、舌下免疫療法でも口の中の腫れ・かゆみなどの副作用があり、まれに重篤なアレルギー反応を起こす可能性があります。そのため、適応を確認し、初回は医療機関で投与します。PMDAの添付文書でも初回投与後30分以上の観察が求められています。(PMDA)
鼻づまりが強いお子さまには、鼻粘膜への手軽な手術も行っています
アレルギー性鼻炎で特に鼻づまりが強く、薬物療法だけでは十分な改善が得られない場合には、治療の選択肢として鼻粘膜に対する手軽な手術があります。
当院では、適応のある患者さんにトリクロロ酢酸(TCA)を用いた下鼻甲介粘膜への化学的焼灼治療を行っています。
処置への協力が可能であれば、10歳ごろのお子さまにも実施できる場合があります。
外来診察の中で行うことができ、鼻づまりなどの症状軽減を目的とします。
ただし、すべてのアレルギー性鼻炎のお子さまに適している治療ではなく、年齢、鼻腔の状態、症状の程度、薬物治療の効果などを確認して適応を判断します。
お子さまの「これから」を考えた耳鼻咽喉科診療を
子どもの耳・鼻・のどの病気には、自然に改善するものもたくさんあります。
一方で、
- 聞こえ
- ことばの発達
- 睡眠
- 食事・哺乳
- 学校生活や集中力
など、成長期だからこそ注意してみていきたい問題もあります。
当院では、必要以上の治療を行うのではなく、「今、治療が必要なのか」「経過をみてよいのか」「将来への影響を考えて積極的に治療した方がよいのか」を判断し、ご家族に分かりやすくご説明したうえで治療方針を決めていきます。
鼻水、耳垢、耳を触る、聞き返しが多い、いびき、口呼吸など、ちょっとした症状でも構いません。










