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アレルギー性鼻炎の診断

鼻汁中好酸球検査


今、出ている鼻水がアレルギーによるものかどうかを調べる検査です。症状がある時に検査します。鼻の中に綿棒入れて鼻水を採取します。検査結果は数日後に分かります。鼻水の中に好酸球(白血球の一種)が有るかどうか調べ、多くある場合はアレルギー性鼻炎と診断します。好酸球がない場合は風邪や血管運動性鼻炎を疑いますが、症状が出ていない時や採取がうまくできていない場合は偽陰性となりやすいです。

特異的IgE抗体

アレルギーの原因を調べる検査です。血液中にアレルギー反応を起こす原因となる抗体ができているか調べます。抗体がある場合は感作されていると言い、アレルギー症状が出る可能性があります。感作されていても症状が出るとは限りません。そのため、特に食物アレルギーの場合、検査で陽性であっても必ずしも食べていけないわけではありません。

当院ではいくつかの方法を用意しております。いずれも保険適応となり、0割負担の方は無料でできます。

通常の採血(外注) ドロップスクリーン イムノキャップ
採血方法 腕の血管から数ml 指先からごく少量 指先から少量
結果がでる時間 数日後 最短30分 20分
調べられる項目 任意で13項目まで
セットで多く調べられるものあり
吸入系19項目、
食物系22項目の
計41項目
吸入系8項目
費用(3割負担の場合) 項目数による
13項目で5000円ほど
5000円ほど 3000円ほど
検査対象年齢 4~5歳以上 赤ちゃんから可能 2~3歳以上
利点 他の血液検査が必要な場合。
血液型も知りたい場合。
ごく少量の血液で検査可能。
食物アレルギーを疑う場合。
結果を早く知りたい、項目を絞って安価に知りたい場合。
■ドロップスクリーン

(2021年7月に導入しました)

腕から血液を採取するのはなく、指先から一滴の血液を採取するだけで原因物質41項目を調べられます。最短で30分ほどで結果がでます。混雑している場合は後日に結果をお伝えすることになります。



■イムノキャップ

腕から血液を採取するのはなく、指先から数滴の血液を採取して、吸入系8種類の検査が可能です。20分ほどで結果が出ます。混んでいても当日に検査結果がわかります。



アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の治療は以下の4本柱からなっています。当院で行っている治療につきご紹介します。

① アレルゲン除去・回避(鼻洗浄)

原因物質=アレルゲンがなければアレルギー症状は起こりません。アレルゲンを吸わないようにする=花粉対策ではマスク(アレルギー性結膜炎ではメガネ)の着用や、家に入れない工夫が必要です。ダニ対策では掃除・換気、カーペットや寝具の検討などが基本となります。
当院では生理食塩水による「鼻洗浄」を行っています。鼻洗浄では鼻をかんでも出てこないような粘性のある鼻汁や、アレルゲン、細菌などの汚れを除去します。大量の食塩水で1~2分間持続的に洗い流します。
また、自宅で行う「鼻洗浄」もご紹介しております。

② 薬物治療

薬物治療は耳鼻咽喉科でも内科でも行っている最も一般的な治療です。内服・貼布の抗アレルギー薬による全身療法と点鼻薬による局所療法があります。抗アレルギー薬は様々な種類があります。鼻炎の症状は個人差が大きいですし、薬の効果・副作用にも個人差があります。症状や鼻粘膜の状態を観察し、患者さんの希望も考慮して薬を決めます。残念ながら対症療法であり、アレルギー体質が治るわけではありません。
院内では局所療法としてネブライザー処置により鼻・副鼻腔粘膜全体に薬剤をいきわたらせることができます。
重症のスギ花粉症の方には生物学的製剤、抗IgE抗体:オマリズマブ(ゾレア)をシーズン中に月に1~2回注射する治療もあります。ご相談ください。

③ アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

アレルゲン免疫療法とは

減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を長期に(3~5年間)投与することで、アレルギー体質を変える治療法です。
アレルギー性鼻炎の現在唯一の根本治療です。アレルギー体質を改善し、長期にわたり症状を抑える可能性があります。
100年以上も前から行われていて、以前は、アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていましたが、現在は治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになり、現在の主流です。
「舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。
スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎で困っている人にお勧めしています。
免疫療法をお勧めする理由
一般の抗アレルギー薬は対症療法で、根本的には治りません。眠くなったりして脳の機能に影響を及ぼすものもあり、妊娠中や授乳中は使用が制限されます。アレルゲン免疫療法はスギ花粉、ダニアレルギーの症状を抑え、抗アレルギー薬の使用を減量・中止できる可能性、スギ花粉、ダニアレルギーが緩解する可能性のある治療法です。舌下免疫療法の副作用は軽微なことが多いです。
勉学の大事な学生さんや運転業務を行う方、若い女性は将来妊娠出産の可能性がるので特にお勧めです。妊娠しても、舌下免疫療法は継続可能です。
舌下免疫療法の薬は3種類
薬剤名 アレルゲンの種類 剤型 最長処方日数 適応年齢
シダキュア スギ花粉 錠剤 30日分 5歳以上
ミティキュア ダニ 錠剤 30日分 5歳以上
アシテア ダニ 錠剤 30日分 5歳以上

※ダニの舌下免疫療法薬、アシテアの取り扱いも始めました。アシテアはミティキュアの約6倍のダニの成分が入っています。より強く早く効果が出るかもしれません。ミティキュアからの切り替えもお勧めしています。

舌下免疫療法を開始する時期

◎スギ花粉の舌下免疫療法はスギ花粉の飛んでいない時期に開始します。6~11月に受診してください。来年のスギ花粉シーズンに向けて、6~8月に始めるのがお勧めです!


◎ダニの舌下免疫療法は一年中開始可能です。

舌下免疫療法はいつまでやるの?
舌下免疫療法は毎日行います。効果が出るには数か月以上かかります。1~2シーズン継続して、効果が感じられたら、3年以上、できれば5年の継続をおすすめします。ただし効果の出ない人も20%ぐらいいるので、その場合は終了します。
<舌下免疫療法についてはこちらもご覧ください。>
舌下免疫療法を始める手順
  1. ①血液検査でスギ花粉やダニに対する特異的IgE抗体の有無を調べます。当院では通常の血管からの採血検査のほか、注射器を使用しないで一滴の血液で調べる方法や、20分ほどですぐに結果がわかる方法など、いろいろ検査を取りそろえています。
    2年以内のアレルギーの血液検査の結果をご持参していただければ代用できる場合があります。スギ花粉、ダニに対する抗体があれば舌下免疫療法の適応です。スギ花粉の免疫療法を行うのか、ダニの免疫療法を行うのか、両方を行うのか、相談して決めます。
  2. ②治療法の説明ビデオをみて、注意事項などを理解していただきます。他の病気の状態や他に飲んでいる薬剤などの関係で免疫療法を行えない場合があります。
  3. ③治療開始日を予約します。初回治療は診察室で行い、その後院内で30分ほど副作用が発現しないか観察します。問題が起きなければ処方箋を受け取って終了です。指定の薬局さんに行ってください。その後1 週間以内に受診をしていただき、薬を増量していきます。治療開始からしばらくは副作用予防のため抗アレルギー薬を併用します。
  4. ④スギ花粉とダニの両方を行う場合は、どちらか一方を開始し、2週間以上安定して服用できれば、他方の薬剤を開始できます。2種類目も、初回治療は診察室で行い30分様子をみますので、予約が必要です。

④ 手術療法(下甲介粘膜焼灼術)

鼻水や鼻づまりの現場である鼻粘膜、特に下甲介の鼻粘膜を変性させて、アレルギー症状を抑えるのが手術療法(下甲介粘膜焼灼術)です。変性させる手段はレーザー、アルゴンプラズマ、電気、薬剤などいろいろあります。1~2年ほどで粘膜が元通りになると効果が薄れます。どの方法でも大きな違いはありません。
当院では簡便できる薬剤塗布による手術を行っています。トリクロール酢酸という薬剤を鼻粘膜に塗布し、酸の効果でたんぱく質を変性させ、粘膜組織にダメージを与えます。トリクロール酢酸とレーザーとの違いは、治療の簡便さ、治療費の安さがあげられます。手術費用は3割負担の場合片側3000円程度、両側で6000円程度です。レーザーによる手術は両側で9000円ほどです。
手術の手順は、鼻内に麻酔薬と粘膜収縮薬を含んだガーゼを挿入し15分ほど待ちます。ガーゼを抜いた後、80%トリクロール酢酸を綿棒で左右鼻内に2回ずつ塗布します。施術時間は麻酔を含めて30分程度です。術中は我慢できないほど痛みはありません。麻酔が切れて痛い場合は、痛み止めを使用します。手術翌日からは就労も可能です。
手術後は鼻粘膜が腫れて、かさぶたが付き、鼻づまりが起こります。そのため片方ずつ施行もできます。かさぶたは次第に収まりますが、手術後一カ月ほど通院治療が必要となります。
手術効果の持続期間には個人差がありますが、半年~2年程度です。効果が切れたら、再手術も容易に行うことができます。毎年行うと良いです。
治療の有効性は鼻づまりに対して約70%、鼻水に対して約60%、くしゃみに対しては約50%です。
スギ花粉症の方は花粉が飛散する前に手術します。11月~1月に手術を受けてください。
手術は鼻の処置を動かずに我慢してできる、小学校高学年くらいのお子さんから行うことができます。原則予約制ですので、ご相談下さい。

手術治療(下甲介粘膜焼灼術)をお勧めする方

薬で効果の得られない方
鼻づまりが強い方
薬で眠気が起こりやすい方
薬の量を減らしたい方
受診回数を減らしたい方(受験生やサラリーマンの方など)
妊娠を考えられている方、授乳中の方