アレルギー性鼻炎の診断

アレルギー性鼻炎かどうかは鼻の中を眼でみて鼻粘膜の色や腫れ具合、鼻汁の性状、花粉症であれば季節であるか、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの合併状況、他疾患(かぜや副鼻腔炎)を除外して総合的に判断します。鼻汁を採って好酸球が多いか調べる方法もあります。
アレルギー性鼻炎の原因(アレルゲン)を調べる方法は血液検査で特異的IgE抗体の有無を調べます。アレルゲンは無数に存在しますが、血液検査で調べることのできる項目があります。それぞれのアレルゲンに対するIgE抗体の量を調べます。アレルゲンとして陽性になる頻度の高いものはスギ・アキノキリンソウ・ヤケヒョウヒダニ・ハウスダスト・ヒノキ・コナヒョウヒダニ・カモガヤ・ガ・ハンノキ・・・と続きます。疑わしいアレルゲンそれぞれについて調べるわけですが保険診療では1種につき1100円(その自己負担分、3割負担なら330円)かかり、一度に最大13種まで調べることができます。通常はセットになっているものを使います。13種の料金(14300円の自己負担分、3割なら4290円)でより多くの項目を一度に調べることができるセットもあります。
(初診・再診料、検査判断料、処置を行った場合は処置料などが別に必要です。名古屋市在住であれば中学生まではもちろん無料となります。)
鼻炎の原因となる吸入アレルゲンでは以下のような項目を検査することができます。

ひとつひとつを詳しく調べるよりもだいたい何が悪いのかをざっくり調べる方法があります。

項目名 混合アレルゲンの内容
イネ科・マルチ ハルガヤ、ギョウギシバ、カモガヤ、オオアワガエリ、アシ
雑草・マルチ ブタクサ、ヨモギ、フランスギク、タンポポ(属)、アキノキリンソウ
動物上皮・マルチ ネコ皮屑、イヌ皮屑、モルモット上皮、ラット、マウス
カビ・マルチ ペニシリウム、クラドスポリウム、アスベルギルス、カンジダ、
アルテルナリア、ヘルミントスポリウム

イネ科の雑草花粉のイネ科マルチ、秋花粉の雑草マルチ
動物を飼っている、あるいは接することの多い患者さんには動物上皮マルチ。
一度に多くのカビアレルギーを調べることができるカビマルチ

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の治療は以下の4本柱からなっています。当院で行っている治療につきご紹介します。

 ①アレルゲン除去・回避(鼻洗浄)
 ②薬物療法
 ③アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
 ④手術療法(下甲介粘膜焼灼術)
① アレルゲン除去・回避(鼻洗浄)

原因物質=アレルゲンがなければアレルギー症状は起こりません。吸わないようにする=花粉対策ではマスク(アレルギー性結膜炎ではメガネ)の着用や、家に入れない工夫が必要です。ダニ対策では掃除・換気、カーペットや寝具の検討などが基本となります。
さらに当院では生理食塩水による鼻洗浄もしくはスチームによる鼻の温熱療法があります。鼻洗浄では鼻をかんでも出てこないような粘性のある鼻汁や、アレルゲン、細菌などの汚れを除去します。家庭で行う「鼻うがい」とは違い大量の食塩水で数分間持続的に洗い流します。スチームによる温熱療法は妊娠中の方にも薬を使用しない局所療法でとても重宝されます。鼻洗浄もしくはスチームは無料で行っています。ご希望があれば利用できますのでお申し付け下さい。

② 薬物治療

薬物治療はどこの耳鼻咽喉科でも、あるいは内科でも行っている治療です。内服抗アレルギー薬による全身療法と点鼻薬による局所療法があります。アレルギー薬は様々な種類があります。鼻炎の症状は個人差が大きいですし、薬の効果・副作用にも個人差があります。鼻粘膜の状態を観察し、患者さんの希望も考慮して薬を決めます。残念ながら対症療法であり、アレルギー体質が治るわけではありません。症状が軽い時は薬を減量・中止し、悪化した時は増量・追加薬で症状の軽減をはかります。また、院内ではネブライザー処置により鼻・副鼻腔粘膜全体に薬剤をいきわたらせることができます。

③ アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。アレルギー症状を軽減し、長期にわたり症状を抑える可能性のある治療法です。症状が完全に抑えられない場合でも、症状を和らげ、薬の使用量を減らすことも期待できます。

アレルゲン免疫療法は、100年以上も前から行われている治療法で、アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」と舌下に投与する「舌下免疫療法」があります。日本では舌下免疫療法の薬はスギ花粉とダニが発売されており、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎で困っている人のお役に立てると思います。

抗アレルギー薬は脳の機能に影響を及ぼす(眠くなったりして勉強やテストに影響する)ものもあり、また 妊娠中や授乳中は使用が制限されます。アレルゲン免疫療法は抗アレルギー薬の使用を減量・中止できる可能性のある治療法です。勉学の大事な学生さんや運転業務を行う方、若い女性は将来妊娠出産の可能性がるので特におすすめです。舌下免疫療法を妊娠中に開始することはできません。すでに治療中の方は妊娠しても、治療継続可能です。

<舌下免疫療法についてはこちらもご覧ください。>

アレルゲン免疫療法ナビ

当院では副作用が少なく、自宅で服用する舌下免疫療法のみ行っています。当院で取り扱っているのは、下記3種類の薬剤です。
薬剤名 アレルゲンの種類 剤型 最長処方日数 適応年齢
シダトレン スギ花粉 液剤(要冷蔵) 30日分 12歳以上
シダキュア スギ花粉 錠剤 2019年4月までは14日分 5歳以上
ミティキュア ダニ 錠剤 30日分 5歳以上

舌下免疫療法を始める手順

①血液検査でスギ花粉やダニに対する特異的IgE抗体の有無を調べます。結果が判明するには数日かかり ます。最近のアレルギーの血液検査の結果をご持参していただければ代用できる場合があります。スギ花粉、ダニに対する抗体があれば舌下免疫療法の適応です。 スギ花粉の免疫療法を行うのか、ダニの免疫療法を行うのか、両方を行うのか、相談して決めます。

②治療法の説明ビデオをみて、注意事項などを理解していただきます。他の病気の状態や他に飲んでいる薬剤などの関係で免疫療法を行えない場合があります。

③初回の薬剤投与日を予約します。副作用軽減のため初回投与日の数日前から抗アレルギー薬を服用していただきます。初回薬剤投与は診察室で行い、その後院内で30分ほど副作用が発現しないか観察します。問題が起きなければ処方箋を受け取って終了です。指定の薬局さんに行ってください。その後1 週間以内に受診をしていただき、薬を増量していきます。

④スギ花粉とダニの両方を行う場合は、どちらか一方を開始し、1か月以上安定して服用できたのを確認し、他方の薬剤を開始します。この時も初回の薬剤は院内で投与し、経過観察しますので、初回の薬剤投与日を予約していただきます。

シダトレン・シダキュアの治療を始められるのは6月から12月までです。1月から5月までは花粉症が発症し、反応性が高まるため治療開始できません。

薬剤を増量して安定すればシダトレン、ミティキュアは月に1回の通院、シダキュアは2019年4月までは新薬のため、2週間に1回の通院となります。
④ 手術療法(下甲介粘膜焼灼術)


アレルギー反応の場である鼻粘膜、特に下甲介粘膜に熱や酸による変性を起こしアレルギー症状を抑えようというのが手術療法(下甲介粘膜焼灼術)です。手段はレーザー、アルゴンプラズマ、電気、などいろいろありますが、根本的な違いはそれほどありません。当院では簡便な方法で行っています。トリクロール酢酸という酸性の液体を綿棒で鼻粘膜に塗布し、酸の効果でたんぱく質を変性させ、粘膜組織にダメージを与えます。1~2年ほどで粘膜が元通りになると効果がなくなります。これはどの方法でも同じです。
手術の手順は、鼻内にアドレナリンとキシロカインを含んだガーゼを挿入し麻酔を行います。80%トリクロール酢酸を綿棒を用いて下甲介に塗布します。数分後鼻内を洗い流します。施術時間は麻酔を含めて30分程度です。術中は我慢できない痛みはありませんが、麻酔が切れてくると痛みが出る場合もあるので、痛み止めを処方することもあります。手術翌日からは就労も可能です。手術後は鼻粘膜が腫れるため、鼻づまりがおきます。そのため片方ずつ施行もできます。1~2週間は鼻汁とかさぶた状のものがでてきて、鼻づまりは逆に強くなりますが、次第に収まり、違和感なく過せるようになります。治療後しばらくの間は通院治療が必要となります。
トリクロール酢酸の効果はレーザーと同様といわれています。レーザーとの違いは、治療の簡便さ、治療費の安い事もあげられるでしょう。手術費用は3割負担の場合片側3000円程度、両側で6000円程度です。レーザーによる手術は両側で9000円ほどです。効果の持続期間には個人差がありますが、1~3年程度と言われています。術後の経過により、再手術の必要があっても容易に行うことができます。術後は薬物療法を並行して行いますが、術前に比べると薬の量を減らすことができます。症状の改善度は鼻づまりに対して約70%、鼻水に対して約60%、くしゃみに対しては約50%といわれています。
スギ花粉症の方はアレルギー反応がひどくなるシーズン前に治療をしておいた方が、治療効果が良いという事が分かっています。1月までに手術を受けることをお勧めいたします。スギ花粉の飛散中の施術はお勧めしません。この治療によってアレルギー体質が変わるものではありませんので 、症状が全く無くなるものではありません。
動かなければ、小学校高学年くらいのお子さんから行うことができます。特に準備はありませんので来院当日に施行できますが、術後処置のため、数日以内の再診をお勧めします。

手術治療(下甲介粘膜焼灼術)をお勧めする方

薬で効果の得られない方
鼻づまりが強い方
薬で眠気が起こりやすい方
薬の量を減らしたい方
受診回数を減らしたい方(受験生やサラリーマンの方など)
妊娠を考えられている方、授乳中の方