Bスポット療法
後鼻漏・のどの違和感・長引く咳
その症状、「上咽頭」の慢性的な炎症が関係しているかもしれません
日比耳鼻咽喉科では、この地域で12年以上にわたりBスポット療法(EAT)を行っています。
当院では、単に薬液を上咽頭に塗布するだけではなく、必要に応じて内視鏡で上咽頭を直接確認し、鼻から、さらに口からも、炎症のある上咽頭を丁寧に擦過する治療を行っています。
後鼻漏やのどの違和感などが長く続き、一般的な治療を行っても改善しない方は一度ご相談ください。
※診察の結果、症状の原因が慢性上咽頭炎ではないと判断する場合もあります。
鼻とのどの間にある「上咽頭」とは?
「鼻」と「のど」の境目にある部分を上咽頭(じょういんとう)といいます。
呼吸をすると、空気とともにウイルス、細菌、花粉、ほこりなどさまざまな物質が鼻から入ってきます。
上咽頭はこうした外界からの刺激を受けやすく、免疫機能にも関係する場所です。
風邪などをきっかけに上咽頭に炎症が起こることは珍しくありません。
通常は改善していきますが、炎症が長期間続くことがあり、これを慢性上咽頭炎と呼びます。
慢性上咽頭炎については、近年、内視鏡を用いた診断方法やEATの評価方法について研究が進められています。
2025年に日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報に掲載された総説では、慢性上咽頭炎の診断として、症状が1か月以上持続すること、症状を説明できる他の鼻・副鼻腔・咽喉頭疾患がないこと、内視鏡で上咽頭の炎症所見を認め擦過による出血がみられること、などが提唱されています。
このような症状が続いていませんか?
慢性上咽頭炎では、さまざまな症状を認めることがあります。
- 鼻水がのどに落ちる・後鼻漏
- のどに何か張り付いている感じ
- のどの違和感・異物感
- のどの痛み
- 痰がからむ
- 長引く咳
- 頻繁にのどを鳴らしたくなる
- 頭痛
- 首や肩周囲の不快感
- 倦怠感
これらは慢性上咽頭炎だけにみられる症状ではありません。
副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、咽喉頭疾患、胃食道逆流・咽喉頭逆流など、別の病気が原因になっている場合があります。
そのため当院では、「症状があるからすぐBスポット療法」ではなく、耳鼻咽喉科医として原因を診断したうえで治療することを大切にしています。
Bスポット療法(EAT)とは?
Bスポット療法は、薬液を含ませた綿棒などを使用して、炎症を起こしている上咽頭を擦過する治療です。
現在は医学的に、
EAT:Epipharyngeal Abrasive Therapy(上咽頭擦過療法)
と呼ばれています。
日本では1960年代から行われてきた治療ですが、近年は内視鏡を用いて上咽頭を直接観察し、炎症部位を確認しながら処置する内視鏡下上咽頭擦過療法(E-EAT)が行われるようになり、改めて臨床研究が進められています。
日比耳鼻咽喉科のBスポット療法
この地域で12年以上。
上咽頭を「確認して、しっかり処置する」ことを大切にしています。
当院では12年以上にわたり、慢性上咽頭炎の患者さんにBスポット療法(EAT)を行ってきました。
長年治療を続ける中で大切にしているのは、上咽頭の状態をきちんと確認し、炎症のある部分を十分に処置することです。
当院のBスポット療法 4つの特徴
① 内視鏡で上咽頭を直接確認
初診時や上咽頭の状態を詳しく確認する必要がある場合には、鼻から細い内視鏡を挿入します。
上咽頭の発赤、腫れ、後鼻漏などを確認するとともに、上咽頭のどの部分に炎症が強いのかを観察します。
現在提唱されている慢性上咽頭炎の診断においても、内視鏡による上咽頭の観察は重要な位置づけとなっています。
② 鼻から、内視鏡で見ながら上咽頭全体を丁寧に擦過
内視鏡を使用する場合には、上咽頭を直接見ながら処置します。
単に一部分に薬液をつけるだけではなく、炎症の状態を確認しながら、上咽頭の上下・左右まで、できるだけ広く丁寧に擦過します。
目で確認しながら処置できることが、内視鏡を使用する大きな利点です。
③ 鼻からだけでなく「口から」もしっかり処置
上咽頭には、鼻から処置しやすい部分と、口からの方が十分に処置しやすい部分があります。
当院では必要に応じて、鼻からの処置に加えて、口から大きな綿棒(咽頭処置用の綿棒)を入れ、上咽頭をしっかり擦過します。
鼻側と口側の両方向から処置することで、上咽頭を広く治療することを心がけています
経鼻・経口の双方から上咽頭を擦過する方法は、現在検討されているEATの標準的な手技にも含まれています。
④ 週1~2回の継続治療がしやすいよう配慮
慢性上咽頭炎では、1回の処置だけで終了するのではなく、週1~2回程度、一定期間継続して治療することがあります。
しかし、毎回内視鏡を使用すると、患者さんにとって時間的・経済的な負担になる場合があります。
そこで当院では、初回など必要な時には内視鏡を使用して上咽頭を十分に評価・処置したうえで、
頻回に通院される方については、状態に応じて内視鏡を使用せず、鼻や口から綿棒を用いる通常のEATを簡便に行うこともあります。
「続ける必要がある治療だからこそ、できるだけ通院しやすく」という点にも配慮しています。
※内視鏡の使用については上咽頭の状態や治療経過に応じて医師が判断します。
12年以上、地域でEATを続けてきました
Bスポット療法という言葉が現在ほど一般的ではなかった頃から、当院では慢性上咽頭炎に対する治療の一つとしてEATを行ってきました。
この地域で12年以上にわたり治療を継続してきた経験を生かし、症状だけではなく、実際の上咽頭の状態を確認しながら治療方針を考えます。
「Bスポット療法を受けてみたい」という方も、まずは現在困っている症状についてお聞かせください。
EATが適しているかどうかを診察したうえでご説明します。
Bスポット療法はどのように行う?
症状を確認します
後鼻漏、のどの違和感、咳、痰、痛みなど、現在困っている症状やこれまでの経過を確認します。
鼻・のどを診察します
副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、咽喉頭疾患など、別の病気が症状の原因になっていないか確認します。
内視鏡で上咽頭を確認
必要に応じて鼻から細い内視鏡を入れ、上咽頭の充血、腫脹、痰や粘液の付着などを確認します。
EATを行います
塩化亜鉛溶液を用いて上咽頭を擦過します。擦過時の出血量なども観察します。
鼻からの処置 + 口からの処置
を組み合わせます。
内視鏡を使用する場合は、上咽頭を見ながら炎症部位を中心に上下左右まで丁寧に処置します。
症状と所見を確認しながら継続
必要な方には週1~2回程度を目安に治療を行います。
治療頻度や期間には個人差がありますので、症状や上咽頭の状態を見ながら判断します。
EATについて、現在も研究が進んでいます
Bスポット療法は決して新しい治療ではありません。
一方で近年、内視鏡による診断や治療方法の標準化が進み、EATについて改めて科学的な評価が行われています。
2019年には日本口腔・咽頭科学会に上咽頭擦過療法検討委員会が設置され、慢性上咽頭炎の定義・診断基準、重症度評価、EATの標準化などの検討が進められました。2025年の日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の教育講演でも、多施設共同前向き試験による検証が紹介されています。
また2025年には、EAT治療前後の上咽頭組織を解析し、局所の炎症性サイトカイン発現の変化を検討した研究も報告されています。作用機序にはまだ明らかでない部分もあり、さらなる研究が必要とされています。
「昔からある治療」から、診断方法や治療効果を客観的に評価する治療へ。
EATについての医学的な検討は現在も進んでいます。
治療時には痛みや出血があります
Bスポット療法では、炎症を起こしている上咽頭を綿棒などで直接擦過します。
そのため、炎症の程度によっては、
- ヒリヒリする痛み
- 鼻やのどからの少量の出血
- 唾液や痰に血が混じる
- 処置後しばらく続く違和感
などが生じることがあります。
特に炎症が強い場合には、擦過時の痛みや出血が目立つ場合があります。
一方、治療による反応には個人差があります。痛みや出血の程度だけで治療効果を判断するものではありません。
治療前に処置内容について説明したうえで行います。
鼻洗浄も行っています
当院の鼻洗浄システム
慢性上咽頭炎や後鼻漏のある方では、症状や鼻の状態に応じて鼻洗浄を併用することがあります。
当院では専用の鼻洗浄設備を設置しています。
鼻洗浄は、生理食塩水などで鼻腔内の分泌物、花粉、ほこりなどを洗い流す補助的な方法です。
EATだけに頼るのではなく、患者さんの鼻・上咽頭全体の状態に応じて治療を考えます。
新型コロナ感染後に症状が続く方へ
Long COVIDと上咽頭炎
新型コロナウイルス感染後に、倦怠感、咳、咽頭違和感、頭痛、集中しにくい感じなどの症状が長期間続くことがあります。
Long COVIDの患者さんと上咽頭炎との関連やEATについても研究が行われています。
2022年にはLong COVID患者58人を対象としてEAT前後の症状を評価した報告があり、さらに2025年には上咽頭組織を用いた遺伝子発現解析によってEAT前後の変化を検討した研究も報告されました。
ただし、Long COVIDにはさまざまな病態があり、EATがすべての新型コロナ感染後症状に有効であることが確立しているわけではありません。
当院では、耳鼻咽喉科的に上咽頭炎を認め、現在の症状との関連が考えられる場合に、治療選択肢の一つとしてEATをご提案します。
よくあるご質問
毎回、鼻から内視鏡を入れるのでしょうか?
いいえ。
初診時など上咽頭の状態を詳しく確認する必要がある場合には内視鏡を使用します。
週1~2回など頻回に通院される場合には、上咽頭の状態や治療経過に応じて、毎回内視鏡を使用せず、鼻や口から綿棒を用いて簡便に処置することもあります。
継続して通院していただきやすいよう配慮しています。
鼻からと口からでは何が違いますか?
鼻からは細い綿棒で上咽頭の隅々まで細かく、口からは大きな綿棒を使用し、多量の塩化亜鉛で、短時間で強い処置を行うことができます。
当院では必要に応じて両方を組み合わせ、上咽頭をできるだけ広く処置します。
痛い治療ですか?
上咽頭に炎症がある場合は、擦過するとヒリヒリした痛みを感じることがあります。
治療後もしばらく違和感や痛みが残ることがあります。感じ方には個人差がありますので、痛みが強い場合にはお申し出ください。
血が出ても大丈夫ですか?
炎症のある粘膜を擦過するため、出血がみられることがあります。出血が多い場合は炎症が強いとも考えれられ、上咽頭炎の存在を示唆するものとなります。
治療後に鼻水、唾液、痰などに血が混じる場合があります。
出血が多い場合や長く続く場合も治療を続けていくと、だんだん出血は減少していきます。
どれくらいの頻度で治療しますか?
当院では、必要な方には週1~2回程度の通院をご案内しています。
治療頻度や治療期間については症状や炎症の程度によって異なります。
1回受ければ治りますか?
EATは1回の処置で症状の改善を期待する治療ではありません。
慢性上咽頭炎では、一定期間治療を続けながら症状と上咽頭の状態をみていく必要があります。
Bスポット療法を希望すれば必ず受けられますか?
まず診察を行います。
症状の原因が慢性上咽頭炎以外にあると考えられる場合には、別の検査や治療をご提案することがあります。
EATそのものを行うことより、症状の原因を正しく診断することを大切にしています。
長引く鼻・のどの症状でお困りの方へ
後鼻漏やのどの違和感、痰、咳などが長く続いているのに、
「鼻を診ても異常がないと言われた」
「薬を飲んでもなかなか改善しない」
「のどの奥がいつも気になる」
という方の中には、上咽頭に慢性的な炎症がある場合があります。
日比耳鼻咽喉科では、この地域で12年以上にわたりBスポット療法(EAT)を行っています。
内視鏡で上咽頭を確認すること。
鼻だけでなく口からも必要な部位を処置すること。
そして、継続が必要な方には通院しやすい方法を考えること。
これまでの経験を生かし、一人ひとりの上咽頭の状態をみながら治療を行います。
まずはご相談ください。











